01 はじめての副業

副業の20万円ルールと住民税|会社員・パートは、確定申告がいらなくても住民税の申告が必要

羽柴 文吾公開 2026.10.31約5分で読めます
副業の20万円ルールと住民税

初めての報酬が振り込まれて、通帳を見ながら、ふと手が止まる。「これ、税金はどうなるんだろう」。調べてみると、20万円、確定申告、住民税と、聞き慣れない言葉が次々に出てきます。

この記事では、副業の税金でまず押さえたい「20万円のルール」と「住民税」を、順番に説明します。なお、この記事は2026年10月時点の情報です。税金のルールは年によって変わることがあります。

ねねさん

副業の収入が20万円以下なら、何もしなくていいって聞いたんです。本当ですか?

塾長

半分だけ正しいんです。所得税と住民税で、ルールが違うんですよ。順番に見ていきましょう。

✓この記事でわかること
  • 「20万円」は売上ではなく、所得で数えること
  • 会社員・パートは、確定申告がいらなくても住民税の申告が必要なこと
  • 住民税の2つの納め方と、確定申告書で選ぶ欄
  • パートや専業主婦の場合の考え方
  • 副業を始める前と始めた後に、やっておきたいこと

「20万円」は売上ではなく「所得」で数える

ここでは、原稿料のような給与以外の副業を例に説明します。アルバイトなど給与の副業は、扱いが変わります。

20万円のルールで数えるのは、受け取った報酬の合計ではありません。「所得」で数えます。

所得は「収入−経費」

所得は、収入から、仕事にかかった費用(経費)を引いた金額です。国税庁は、原稿料などの副業の所得を「雑所得」の例に挙げています。雑所得の金額も、収入から経費を引いて計算します。

たとえば、1年間の報酬と経費が次のような場合です。

項目金額(例)
1年間の報酬(収入)25万円
仕事にかかった費用(経費)6万円
所得(収入−経費)19万円

報酬は25万円でも、所得は19万円になります。20万円のルールで見るのは、この19万円のほうです。

1月から12月までの1年間で数える

所得は、1月1日から12月31日までの1年間で数えます。副業を始めた月に関係なく、その年の分をまとめて計算します。

ねねさん

売上じゃなくて、経費を引いた後の金額なんですね。

塾長

そうです。だから、経費の記録がとても大事になります。記録のつけ方は、最後に説明しますね。

所得税の確定申告がいらないのは、どんな人?

20万円のルールは、会社員やパートなど、給与を受け取っている人のためのものです。給与の所得税は、多くの場合、勤め先の年末調整で精算が済みます。そのため、次の条件にすべて当てはまる人は、確定申告をしなくてよいとされています。

  • 給与を1か所から受け取っていて、その給与の全部が源泉徴収(所得税の天引き)の対象になっている
  • 給与の年間の収入が2,000万円以下
  • 給与以外の所得(副業の所得など)の合計が20万円以下

先ほどの例なら、所得は19万円です。ほかの条件もすべて満たしていれば、所得税の確定申告はいりません。

20万円以下でも、確かめたいケース

次のような場合は、20万円以下でも注意が必要です。

給与を2か所以上から受け取っている

確定申告が必要かどうかの条件が変わります

医療費控除などを受けるために確定申告をする

副業の所得も合わせて申告します

✕ こういう意味ではない

確定申告をするときに、20万円以下の所得は書かなくてよい

○ 国税庁の説明

20万円のルールは「申告しなくてよい場合」の決まり

20万円を超えたら、確定申告をする

上の条件の人で、副業の所得が20万円を超えたら、所得税の確定申告をします。確定申告の期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。

【図解】副業の税金 20万円の判定の流れ(会社員・パートの場合)

20万円以下でも、住民税の申告は必要

ここが、冒頭のねねさんの質問の「残り半分」です。20万円のルールは、所得税だけの話です。所得税の20万円のルールは、住民税にはありません。

そのため、所得税の確定申告をしない場合でも、市区町村へ住民税の申告をします。申告先は、申告する年の1月1日に住んでいた市区町村です。住民税の税額は、申告された所得などをもとに決まります。副業の分も申告して、正しい税額にしてもらいましょう。

ねねさん

えっ、20万円以下なら、本当に何もしなくていいと思っていました…。

塾長

所得税だけの話なんです。確定申告をしないなら、住民税の申告は市区町村にします。

会社員やパートで年末調整を受けている人の場合、まとめると次のとおりです。

← 横にスクロールできます →

副業の所得(1年間)所得税住民税
20万円以下上の条件を満たせば、確定申告はいらない確定申告をしないなら、市区町村に申告する
20万円を超える確定申告をする確定申告をすれば、別の申告はいらない

確定申告をした人は、あらためて住民税の申告をしなくてよいとされています。税務署に出した確定申告書の内容を、市区町村が参照するためです。

✕ 確定申告がいらない

だから、何もしなくていい

○ 確定申告をしないとき

住民税の申告を、忘れずにする

住民税の2つの納め方

住民税の納め方には、特別徴収と普通徴収の2つがあります。

納め方どうやって納めるか
特別徴収勤め先が、毎月の給与から差し引いて納める
普通徴収市区町村から届く納税通知書で、自分で納める

会社員の住民税は、原則として特別徴収です。勤め先には、市区町村から住民税の額が通知されます。

確定申告書の「住民税に関する事項」で選ぶ

副業の所得の分の住民税は、納め方を選べる場合があります。

選ぶ場所(確定申告書の第二表)
  • 「住民税・事業税に関する事項」という欄
  • その中の「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」
「特別徴収」

副業の分も、本業の給与から差し引いてもらう

「自分で納付」

副業の分だけ、普通徴収で自分で納める

国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、「住民税の徴収方法の選択」という項目で選びます。確定申告をしない人は、市区町村に出す住民税の申告書で選ぶ形です。

!注意
  • 選べるのは納め方だけです。住民税の額は変わりません
  • 「自分で納付」を選んでも、申告の内容によっては特別徴収になることがあります
  • 副業がアルバイトなどの給与なら、本業の給与からまとめて差し引く市区町村があります
  • 扱いは市区町村によって違います。くわしくは、お住まいの市区町村に確かめましょう
ねねさん

「自分で納付」にすれば、会社に副業のことを知られないんですか?

塾長

そこは約束できないんです。この欄は、あくまで納め方を選ぶためのものです。副業をしてよいかは、先に勤め先のルールで確かめましょう。

パートや専業主婦の場合

働き方ごとに、考え方を整理します。

パートの人

パートの給与も、給与です。上の条件をすべて満たしていれば、会社員と同じ20万円のルールが使えます。20万円以下で確定申告をしないなら、住民税の申告を市区町村にします。

給与のない人(専業主婦など)

20万円のルールは、給与を受け取っている人のためのものです。給与のない人は、このルールで判断しません。所得から所得控除を引いて、所得税が出るなら確定申告が必要です。

用語:所得控除

税金の計算で所得から差し引ける金額です(基礎控除など)。

  • 判断に迷ったら、税務署に確かめる
  • 所得税がかからない場合でも、住民税の申告がいるかは市区町村に確かめる

家族の扶養に入っている人は、もう1つ確認を

ここからは、働き方に関係なく、家族の扶養に入っている人に共通する話です。夫の税金の「配偶者控除」は、妻の合計所得金額で判定します。

合計所得金額の数え方
  • パートの給与は、給与収入から給与所得控除を引いた「給与所得」に直す
  • その給与所得と副業の所得を、合わせて数える

国税庁によると、配偶者控除の基準は次のとおりです。

年の分配偶者控除の基準
令和8年分(2026年1〜12月)合計所得金額が62万円以下
令和7年分(2025年1〜12月)合計所得金額が58万円以下

基準を超えても、133万円以下なら「配偶者特別控除」が受けられる場合があります。また、夫の合計所得金額が1,000万円を超える年は、配偶者控除は受けられません。

健康保険や年金の扶養も、この金額で決まりますか?
いいえ。この金額は、所得税の話です。健康保険や年金の扶養は、税金とは別の基準です。夫の勤め先の健康保険など、加入している窓口で確かめましょう。
ねねさん

私はパートなので、パートの給与と副業を合わせて考えるんですね。

塾長

はい。副業を始める前に、ご家族の扶養のことも一度確かめておくと安心です。

始める前と始めた後に、やっておきたいこと

税金の手続きは、副業を始めてから慌てないことが大切です。ここでは、今のうちにできることを2つ紹介します。

まず勤め先の就業規則を確認する

会社員やパートの人は、副業を始める前に勤め先の就業規則を確認しましょう。副業を認めているか、届け出や許可が必要かは、勤め先によって違います。「副業」「兼業」という言葉で探すと、見つけやすくなります。わからなければ、人事や総務の担当に聞いてみてください。

収入と経費の記録をつけておく

20万円のルールは、所得で判断します。所得を出すには、収入と経費の両方がわかっていなければなりません。次のような表に、1件ずつ書いておきましょう。

← 横にスクロールできます →

日付内容収入(差し引かれる前の報酬)源泉徴収された額経費
(例)5月10日記事1本の報酬5,000円(あれば)
(例)5月12日仕事で使う本1,500円
!記録のポイント
  • 報酬の明細や、領収書・レシートは捨てずに取っておく
  • 収入の欄には、振込額ではなく、明細にある差し引かれる前の報酬の額を書く
  • 報酬から所得税が差し引かれていたら(源泉徴収)、その金額も書いておく
  • 何が経費になるか迷うものは、税務署に確かめる

月に1回、まとめて書く日を決めておくと、続けやすくなります。

まとめ

この記事のまとめ
  • 20万円のルールは、売上ではなく所得(収入−経費)で数える
  • 給与が1か所などの条件をすべて満たし、副業の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告はいらない
  • 住民税には20万円のルールがない。確定申告をしないなら、市区町村に申告する
  • 給与のない人は20万円のルールの対象外。税金の配偶者控除は、給与所得と副業の所得を合わせた合計所得金額で判定する(健康保険・年金の扶養は別の基準)
  • 始める前に就業規則を確認し、始めたら収入と経費の記録をつける

税金の扱いは、人によって条件が違います。くわしくは、税務署や、お住まいの市区町村の住民税の窓口に確かめてください。

塾長

税金は、最初に仕組みを知っておけば怖くありません。次は副業の準備として、副業用のGoogleアカウントを作りましょう。作ってある方は、その次の記事へどうぞ。

ねねさん

まずは就業規則を見て、記録の表も作ってみます!

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羽柴 文吾
この記事を書いた人
羽柴 文吾

Webディレクター・ライター。リフォームのWebメディアのディレクションや、未経験ライターの育成を担当しています。

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